目次
30代女性の疲れが取れない原因
30代女性の疲れが取れない主な原因として、以下の7つが考えられます。
- ライフイベントに伴うストレス
- 貧血や血行不良
- ホルモンバランスの乱れ
- 筋力の低下
- 睡眠の質の低下
- 運動量の減少
- 食生活の偏り
ライフイベントに伴うストレス
30代女性の疲れが取れない理由の1つに、ライフイベントに伴うストレスが挙げられます。
女性は30代の間に、結婚や出産、育児といったライフイベントを経験する傾向にあります。こういったライフイベントに起因するストレスが引き金となり、自律神経のバランスを乱してしまう可能性が高いです。
さらに、環境の変化を受けてストレスが過剰に蓄積されてしまうと、そのストレスへ対処するために交感神経の働きが活性化されると考えられています。
その結果、身体を休める作用を持つ副交感神経の働きが弱まり、身体の休養を取りにくくなりがちです。
また、ライフイベントによるストレスは、免疫細胞の働きを阻害してホルモンバランスの乱れを引き起す恐れもあり、疲労を感じやすくなる場合があります。
貧血や血行不良
30代女性の疲れが取れない時は、貧血や血行不良が原因の1つとして考えられます。
貧血状態になり、酸素を運ぶ役割のヘモグロビンが不足してしまうと、全身に酸素が行き渡りにくくなりやすいです。その結果、倦怠感や無気力感におそわれる場合があると考えられています。
また血行不良によって、全身に栄養を循環させにくくなったり、疲労の原因となる老廃物が溜まったりすることも、疲れを感じさせる要因となり得ます。
さらに、酸素不足になると、それを補おうとして呼吸数が増えるために、肉体的な疲労も増加する場合が多いです。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れが、30代女性の慢性的な疲れにつながる場合も多いです。
30代は女性にとって、妊娠や出産、月経前症候群(PMS)などの理由により、ホルモンバランスが乱れやすい年代であると言われています。
ホルモンバランスとは主に、プロゲステロン(黄体ホルモン)やエストロゲン(卵胞ホルモン)と呼ばれる2通りの女性ホルモンの分泌バランスのことを指します。
また月経前症候群(PMS)とは一般的に、女性の月経の7日ほど前から始まることの多い、身体的・精神的不調を引き起こす病気のことです。
女性ホルモンは、自律神経の働きや全身の組織を維持するのに重要な役割を持ち、その分泌バランスが乱れることで全身に不調をきたしたり、疲労感を感じたりすることがあります。
また、女性ホルモンの乱れによって血糖値が不安定になることも、倦怠感を生じさせる原因となり得ます。
筋力の低下
筋力の低下によって、30代女性の慢性的な疲れが引き起こされる場合も多いです。
筋力は成人したての頃を境にして、加齢によって衰えていくものであると言われています。
筋肉量が少なくなると、全身の基礎代謝の悪化に繋がったり、血行不良が引き起こされたりする可能性があります。その結果、身体のエネルギー不足で倦怠感を感じる機会が増えやすいです。
また、基礎代謝の低下は体脂肪の増加にも繋がる場合があります。ゆえに筋肉に対する負担が増加することで、肉体的疲労も身体に蓄積されるケースも見受けられます。
睡眠の質の低下
睡眠の質が低下していることも、30代女性の疲れが取れない際に考えられる1つの要因です。
睡眠の質が低下すると、睡眠の疲労回復効果を得ることができない場合があります。一般的に質の良い睡眠をとれていると、ノンレム睡眠で脳が、レム睡眠で身体が休まると言われています。
したがって、睡眠量が足りなかったり睡眠の質が悪かったりすると、心身共に疲労を回復する機会が少なくなってしまうと言えるでしょう。
また、睡眠の質の低下はメンタル面の乱れにもつながり、精神的疲労に直結する可能性も高いです。
運動量の減少
30代女性の疲れが取れない時に考えられる原因として、運動量の減少が挙げられます。
30代は仕事や家事の負担が増加することによって、一般的に運動する機会が少なくなりがちな年代です。運動不足により体内の血液や水分の循環が阻害されると、乳酸が蓄積してしまう場合があります。
また、必要な酸素や栄養が全身に行き渡らないことが原因で、疲労感が続いてしまう可能性もあります。
食生活の偏り
30代女性で慢性的な疲れに悩んでいる場合、食生活の偏りが原因である可能性があります。
仕事や育児に疲れて、食事をおろそかにしてしまう30代女性も少なくないです。人間は食べ物の栄養から日常のエネルギーを合成しているため、偏った食生活を続けていると、だるさを感じやすい身体になる恐れがあります。
主な栄養素の働きには以下のようなものがあります。
- 主に糖質・脂質が身体のエネルギー源である
- ビタミンは糖質・脂質の変換を助ける
- タンパク質は筋力を増強させる
- カルシウムは骨や細胞機能を高める
必要な栄養素やその量は全員が一緒というわけではなく、30代女性は血行不良の予防に繋がる鉄分やビタミン、筋肉の元となるたんぱく質などを摂ることが必要だと言われることが多いです。
疲れが取れない30代女性におすすめの疲労回復方法
30代女性の取れない疲れを回復する方法は、大きく分けて以下の6つであると考えられています。
- 軽い運動をする
- 質の高い睡眠をとる
- ぬるま湯に浸かる
- 深呼吸を習慣化する
- こまめにストレスを解消する
- 疲労に効く食べ物を食べる
軽い運動をする
30代女性の取れない疲労の回復方法の1つとして、軽い運動を行うという方法があります。
適度な運動は血行を良くするため、栄養素を循環させるのを助け、疲れにくい身体を作るのに良い影響を与える場合が多いです。ストレッチやウォーキング、ランニングなどを軽く行うことでも効果が期待できます。
しかし、過度に運動をしすぎるのは肉体疲労に直結するため、逆効果となる恐れがあります。
質の高い睡眠をとる
30代女性が抱える疲労の回復方法として、質の高い睡眠をとるという方法が考えられます。
睡眠中は全身の筋肉が弛緩し、呼吸や脈もおだやかになります。また、脳や自律神経も休息状態になっており、肉体に限らず精神面でもリラックスできる可能性が高いです。
例えば脳の働きが低下するノンレム睡眠中には、精神や肉体の疲労を回復する作用のある成長ホルモンが分泌されることで、全身を休養させることができると言われています。
またレム睡眠では情報の整理が行われることで、日中の不安感や嫌な出来事を解消し、ストレスによる疲労の回復効果が期待できます。
ぬるま湯に浸かる
30代女性の慢性的な疲労を回復したい場合、ぬるま湯に浸かることも効果的だと考えられます。
多くの場合、入浴によって血行を良くすることで、栄養素を全身に行き渡らせることができます。また、血行改善によって筋肉の緊張が弛緩され、筋肉痛やこりの緩和にも良い影響がみられる可能性が高いです。
さらに、39度程度のぬるま湯での入浴は、副交感神経を適度に刺激しリラックス効果が期待できます。
しかし熱いお湯での入浴は、逆に交感神経を刺激してしまい、睡眠の質に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
深呼吸を習慣化する
深呼吸を習慣化することも、疲労感が続いている30代女性におすすめな対処法の1つです。
30代の女性は、自律神経の乱れから来る不眠や焦燥感、肩の痛みなどといった不調に悩まされているケースが多いです。そういった疲れは、深呼吸を習慣化して自律神経の働きを整えることによって、軽減できる可能性があります。
深呼吸をする際には、副交感神経に働きかけてリラックスできるよう、深くてゆっくりとした動作を心がけることが重要とされています。
お腹を3センチ膨らませる程度を目処に息を吸い込み、吸った時間の約2倍かけて口から息を吐き出すことが、基本的な深呼吸の方法と言われることが多いです。
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こまめにストレスを解消する
30代女性の慢性的な疲労の回復方法として、こまめにストレスを解消するという方法も考えられます。
ストレスをため込みすぎると、疲れているはずなのに休養できなくなったりと、身体に様々な支障をきたす恐れがあります。そのため過剰にストレスを溜めてしまう前に、こまめに発散することが肝要と言えるでしょう。
例えば気分転換用のグッズをこまめに活用すると、不安感や緊張感を抑えられる可能性があります。その他、こまめに立ち上がってみたり、甘いものをたべたりするのも簡単なストレス解消法だと言えます。
疲労に効く食べ物を食べる
疲労に効く食べ物を食べることで、30代女性の疲労感を軽減できる可能性があります。
疲れが取れない30代女性におすすめの栄養素を含む食べ物について、以下表にまとめました。
おすすめの栄養素 | 主な効果 | 主に含む食べ物 |
α-リポ酸 | 抗糖化作用・新陳代謝を高める働き | レバー・トマト・ほうれん草・じゃがいも |
クエン酸 | ミネラルの吸収を促進するキレート作用・乳酸の排出を促進する抗疲労作用・エネルギー産出を促進する働き | お酢・柑橘類・ピーマン・パプリカ |
ビタミンB1 | 糖質をエネルギーに変換するのを助ける働き | ウナギ・豚肉・ナッツ・かつお |
鉄分 | 血液中で酸素と結びつき、全身に酸素を循環させる働き | レバー・岩のり・小松菜・小豆 |
イミダゾールペプチド | 抗酸化作用・疲れを緩和する働き | 鶏肉・鮭・マグロ・クジラ |
L‐カルニチン | 脂肪燃焼を助け、エネルギー産出を促進する働き | ラム肉・エビ・牛乳・貝類 |
コエンザイムQ10 | 抗酸化作用・エネルギー産出を促進する働き | イワシ・大豆・ゴマ・牛乳 |
パントテン酸 | 糖質や脂質をエネルギーに変換するのを助ける働き | 納豆・卵・ブロッコリー・レバー |
上記表にまとめた栄養素は、どれか1つしか摂取しなかったり過剰に摂取しすぎたりすると、その効果を弱めることにつながりかねません。
重要なのは、それぞれの栄養素を日常的にバランスよく摂取することであると言えます。
また、食べ過ぎなどは消化器官に負担をかけることにつながるため、その日の体調にあわせた食事量や内容を考える必要があります。
30代女性特有の疲れの種類
30代女性特有の疲れの種類は、大きく分けて以下の3つだと考えられています。
- 精神面の疲労
- 脳の疲労
- 肉体面の疲労
精神面の疲労
30代女性が慢性的に抱えている疲れの1つに、精神面の疲労があると言えます。
仕事や家庭など様々な場面において、心配事や不安感が原因で、心が四六時中緊張しているような場合、精神面の疲労にあたると考えられます。この疲労の主な原因は、ストレスによるものである可能性が高いです。
また精神的な疲労を放置すると、胃の痛みや頭痛など身体的な症状へとつながる恐れがあるため、注意が必要です。
脳の疲労
30代女性が悩まされる慢性的な疲労の一種として、脳の疲労も挙げられます。
インターネットの普及によってインプットされる情報量が急激に増加したことや、仕事における過度なストレスなどが原因となり、脳が休まらないことで起こる疲労が脳疲労だと言われています。
また、SNSにおける人間関係のストレスに起因して脳疲労が生じる場合も多いです。
肉体面の疲労
肉体面の疲労感によって、疲れが取れないと感じている30代女性も多いと考えられます。
肉体面の疲労とは主に、肉体労働や家事、育児などを行った後に感じる、身体の急性疲労のことです。
デスクワークをする女性も増え、長時間座っていることによる血行不良からくる肩こりなどの症状もこれに含まれます。
ただし急性の疲労であるため、休息や時間経過で解決する可能性が高いです。
疲れが取れない30代女性に関するよくある質問
30代女性で疲れが取れず眠くなるのはなぜですか?
30代女性で疲れが取れず眠くなるのは、妊娠や出産、生理などでホルモンのバランスが乱れることが関連しているケースが多いです。
例えば女性ホルモンの1つである 「エストロゲン」は、PMSや更年期障害によってその量が急激に減少すると、自律神経と交感神経のバランスを乱してしまう可能性が高いです。結果として、夜寝れなくなったり日中眠くなったりする場合があります。
30代女性で疲れが取れずに眠い時の対処法はありますか?
30代女性で疲れが取れずに眠い時の対処法として、まずは規則正しい生活習慣を心がけることが大切だと考えられます。
例えば食事バランスに気を使ったり、日中に適度な運動を取り入れたりすることで、夜決まった時間に就寝しやすくなると言えます。その結果、質の良い睡眠をとることに繋がり、昼間の眠気を予防できる可能性が高いです。
ただし、生活習慣を見直しても状況が改善しない場合には、一度医療機関を受診することも、対処法の1つとして考えられます。
なぜ30代は疲れやすいのでしょうか
30代はライフステージに大きな変化が訪れたり、仕事がより一層忙しくなったりする年代であるため、疲れやすいと考えられます。
長時間の仕事は肉体面への負担のみならず、プライベートを楽しむことができないという心理的なストレスの原因にもなり、疲れを感じさせやすいと言われています。
また、加齢とともに免疫力が低下することで、病気に罹患し疲労感を感じるという場合も多いです。
【監修者プロフィール】
江東こころのクリニック院長
谷本 幸多朗医師
九州大学医学部卒業後、帯広第一病院にて救急医療や外科及び内科の研修を経験する。
2013年より久喜すずのき病院にて精神科急性期医療を後期研修し精神保健指定医となる。
2018年より江東区にて一般メンタルクリニックに加えて認知症デイケアを併設した物忘れ外来も行う精神科クリニックである江東こころのクリニックを開業し、現在に至る。
▼主な経験
・精神保健指定医の経験あり
・製薬会社主催の各講演会や地域の医療職対象の勉強会において講演や座長の経験多数あり