目次
脳疲労とは
脳疲労とは、脳に過剰な負荷がかかった結果、脳が疲弊してしまう状態を指す言葉です。
脳疲労は、主に脳が入ってくる情報を完全に処理できないときに起こると考えられています。
また、スマホやPCなどの普及により、現代は以前と比べて受け取る情報の量が多くなっていると言われています。そのため、スマホやPCの普及に伴い、脳疲労に陥ってしまう人が増えていると言えるでしょう。
【症状を紹介】脳疲労のサイン
脳疲労のサインは、主に以下の6つが挙げられます。
- 記憶力が落ちる
- 自律神経が乱れる
- 思考力や判断力の低下によるミスが多くなる
- 情緒が不安定になる
- 快適な睡眠ができない
- 目が疲れている
記憶力が落ちる
脳疲労のサインと言える症状の1つに、記憶力が落ちることが挙げられます。
記憶力の低下には、以下の2つの脳の働きが関係していると考えられています。
- 一次機能
- 高次脳機能
一次機能とは、肌や目、口、鼻などの様々な器官から取り入れた情報を脳に伝えたり、脳が発する指令に基づいて四肢を動かしたりする能力であると考えられています。
一方で、高次脳機能とは、一次機能によって脳が収集した情報をもとに、言語や物事を理解したり、行動や記憶の定着を促したりする機能のことを指します。
情報のインプットが多いと高次脳機能が過剰に使われ、疲労が蓄積し、記憶力をはじめとした機能が低下してしまう可能性が高くなるため、注意が必要です。
自律神経が乱れる
自律神経が乱れてしまうことも、よくある脳疲労のサインの1つと言えます。
脳を使い続けて疲れが溜まると、自律神経を調整する力が鈍くなると考えられています。その結果として自律神経のバランスが崩れ、以下のような症状があらわれることがあります。
- 頭痛
- 肩こり
- 下痢や便秘 など
思考力や判断力の低下によるミスが多くなる
脳が疲労した結果、思考力や判断力が低下してミスが多くなることがあります。
脳疲労が起こると、脳の思考する働きが弱くなってしまうと考えられています。また、思考する働きが弱くなることで、思考力や判断力が低下してしまう可能性が高いです。
そのため、思考力や判断力が低下した結果、ミスが多くなってしまうと言われています。
情緒が不安定になる
脳疲労のサインとしては、情緒が不安定になることも挙げられます。
脳は、感情を調整する機能も担っていると考えられています。そのため、脳が疲労することで、感情を調整する機能も弱くなってしまうことがあります。
この結果、感情を上手くコントロールできなくなり、情緒が不安定になってしまうと言えます。
快適な睡眠ができない
脳疲労が起こっている場合、快適な睡眠ができなくなってしまう人が多いです。
脳が疲労していると、自律神経が乱れてしまうことがあります。この結果、交感神経が優位になりやすくなり、快適な睡眠ができない場合が多くなると言われています。
また、脳疲労が起きると、脳が正常な判断をしづらくなると考えられています。このため、適切な睡眠時間の確保や眠気を感じとることが難しくなり、睡眠の質が低下してしまう場合があります。
目が疲れている
目が疲れていることも、脳疲労のサインとして挙げられる症状の1つです。
長時間の仕事や勉強など、目を多用することで目に疲労を感じることがあります。
また、目で物を見るとき、脳を使って物を認識していると考えられているため、目と同時に脳も疲れていると考えることができます。
脳疲労の治し方・対策
脳疲労の対策や治し方は、主に以下の9つが挙げられます。
- 脳に良い栄養を摂取する
- 深呼吸をする
- 何も考えない時間を作る
- アクティブレストをする
- 睡眠時間を確保する
- スマホを使わない時間を作る
- リフレッシュできることをする
- 頭を使うことを習慣づける
- 瞑想をする
脳に良い栄養を摂取する
脳疲労の治し方の1つとして、脳に良い栄養を摂取することが挙げられます。
脳に良い栄養素の具体例としては、以下が挙げられます。
- ブドウ糖
- ミネラル
- タンパク質
- ビタミンB群
ブドウ糖は、脳が活動する際のエネルギー源になると考えられています。砂糖や果物、穀物などを食べることによって、ブドウ糖を摂取できると言われています。
また、ミネラルは、神経伝達物質の生成や血液の循環に関わっていると考えられています。そのため、ミネラルの摂取により疲れの改善などの効果を期待できます。例えば、ミネラルが多く含まれる食べ物として、魚介類や野菜、藻類などが挙げられます。
さらに、タンパク質は、神経伝達物質の原料を含んでいると考えられています。神経伝達物質の中にはモチベーションや思考力に関わるものがあると言われているため、タンパク質を摂ることでモチベーションや思考力の上昇が期待できます。
なお、肉類や魚介類、卵などを食べることで、タンパク質を摂取できると言われています。
また、ビタミンB群は、神経での情報伝達やエネルギーの生成を補助する働きがあります。例えば、ビタミンB群が多く含まれる食べ物として、豚肉やレバー、納豆などが挙げられます。
深呼吸をする
深呼吸をすることでも、脳疲労の改善の効果が期待できます。
脳が疲労している際、脳に酸素が適切に行き渡っていない状態であると考えられています。また、深呼吸をすると脳に酸素が行き渡るとともに血流も改善されると言われています。
したがって、深呼吸をすることにより、脳の酸欠状態を防ぐとともに適切に脳を休ませられると言えるでしょう。
深呼吸をすることでも、脳疲労の改善の効果が期待できます。
脳が疲労している際、脳に酸素が適切に行き渡っていない状態であると考えられています。また、深呼吸をすると脳に酸素が行き渡るとともに血流も改善されると言われています。
したがって、深呼吸をすることにより、脳の酸欠状態を防ぐとともに適切に脳を休ませられると言えるでしょう。
深呼吸習慣化デバイス「ston s」
- 「ston s」は、エナジードリンクでも、電子タバコでもない深呼吸を習慣化することを目的としたデバイス
- 罪悪感0で瞬間リフレッシュが可能
- 充電の必要がなく、どこでも持ち運びできる
何も考えない時間を作る
何も考えない時間を作ることでも、脳疲労が回復することがあります。
脳疲労の場合、脳が働きすぎている状態にあると言えます。そのため、何も考えない時間を作って脳を休ませることで、脳疲労の回復が見込めます。
何も考えないことが難しい場合は、ジョギングや散歩などの運動に集中することでも、同様の効果が期待できるでしょう。
アクティブレストをする
脳疲労の回復方法として、アクティブレストを取り入れている人もいます。
アクティブレストとは、疲労を回復するために積極的に運動などを行う休養の取り方を指す言葉です。
軽い運動をすると、交感神経が優位になり血行が良くなると考えられています。そのため、軽い運動をして血行を促すことで、酸素や栄養が脳に行き渡りやすくなると言えます。
また、疲労時には脳内に疲労の原因となる物質が蓄積されていると考えられているため、軽い運動で血の巡りを良くすることで、疲労の原因となる物質を排出することが期待できます。
睡眠時間を確保する
睡眠時間を確保することで、脳疲労の回復に効果が見られることもあります。
睡眠時は、疲労の原因となる脳内の老廃物が排出されていると考えられています。そのため、睡眠時間を確保することは脳疲労の回復にとって重要であると言えます。
なお、睡眠時間は、疲労を感じず心地よく起きられる時間を目安にすることがおすすめです。
スマホを使わない時間を作る
脳疲労の回復には、スマホを使わない時間を作ることでも効果が期待できます。
スマホの使用は、得られる情報量の多さなどから脳疲労の原因となりやすいです。
そのため、スマホを使わない時間を作ることで脳疲労の原因から離れることができると言えます。
リフレッシュできることをする
リフレッシュをすることも、脳疲労の回復方法として有効であると考えられます。
リフレッシュをすることで、脳疲労の原因となるストレスを解消しやすくなり、脳疲労の蓄積を予防できると言えます。
リフレッシュ方法の具体例としては、趣味や音楽、アロマの香りなどを楽しむことなどが挙げられます。
頭を使うことを習慣づける
脳疲労の対策としては、頭を使うことを習慣づけることも効果的であると言えます。
頭を使う習慣としては、頭の中をアウトプットすることや、本で調べものをするなどの習慣が挙げられます。
脳を多く使うと、脳内の神経がより多く結びついていくと考えられています。そのため、脳を多く使うにつれ、脳の働きが良くなっていく傾向があると言えます。
したがって、日常的に頭を使う習慣をつけることで脳の状態を良好に保つことができるでしょう。
瞑想をする
脳疲労の改善方法として、瞑想をすることが有効であると考えられています。
瞑想をすることで、意識を集中させることが期待できます。さらに、意識を集中させることで、余計なことを考えすぎない状態を作り出せることがあります。
このように脳に余白が生まれた状態になることにより、頭で考えていたことが整理され、脳疲労の回復の効果が期待できます。
脳疲労になる主な原因
脳疲労になる主な原因は、主に以下の4つが挙げられます。
- 睡眠が不足している
- スマホを使い過ぎている
- ストレスが溜まっている
- 複数のタスクを並行してこなしている
睡眠が不足している
脳疲労になる主な原因の1つに、睡眠が不足していることが挙げられます。
睡眠ではレム睡眠とノンレム睡眠の2種類の睡眠が繰り返されると考えられており、ノンレム睡眠のときに脳が休み、回復すると言われています。
そのため、ノンレム睡眠が適切にとれていない場合、脳を休めることができていないと言えます。
スマホを使い過ぎている
スマホを使いすぎていることが、脳疲労の原因になっていることもあります。
スマホから得られる情報量は、スマホを使用していないときと比べて多いと言えます。そのため、スマホを使いすぎてしまうと脳が受け取る情報量も増えてしまうでしょう。
脳が多くの情報を受け取り、処理できなくなった結果、脳疲労に繋がってしまいやすいです。
ストレスが溜まっている
ストレスが溜まっている場合、脳疲労を引き起こしてしまうことがあります。
ストレスは心身の変調や、睡眠障害などを引き起こす場合があります。そのため、脳の疲労が回復しづらかったり、疲労を悪化させたりすることがあると考えられています。
また、過度なストレスを受けると脳の働きのバランスが崩れることがあると言われています。脳の働きのバランスが崩れた結果、脳が正常な働きをせず疲労が溜まってしまう場合が多いです。
複数のタスクを並行してこなしている
脳疲労は、複数のタスクを並行してこなしていることが原因になっていることもあります。
複数のタスクを並行してこなしている場合、脳は通常よりも多くのエネルギーを使っている状態にあると言えます。
また、一度に進めるタスクの量が多い場合、ストレスの負荷も大きい状態にあると考えられます。エネルギーの多量な消費や大きなストレスを受けた結果、脳疲労に繋がってしまう場合が多いです。
脳疲労が続くとどうなる?
脳疲労が続いた場合、以下の症状に繋がる恐れがあります。
- 意欲減退や不安
- 睡眠障害
- 動悸や頭痛、めまい
- 便秘や下痢 など
脳疲労が続いた場合、自律神経の働きが乱れる可能性が高いです。自律神経の働きが乱れると、意欲減退や睡眠障害、不安感などの症状が見られる場合があります。
また、身体的な不調として動悸や頭痛、めまいや胃の不調などが現れることがあります。
認知症や加齢による物忘れとの違い
脳疲労による物忘れと認知症や加齢による物忘れは、以下の点で違いがあると言えます。
- 仕組みの違い
- 症状の違い
脳疲労による物忘れの仕組みは、主にストレスを受けて脳の機能が低下してしまうことだと言われています。
対して、加齢による物忘れは、加齢に伴い脳が萎縮していくことで起こると考えられています。また、認知症による物忘れの場合は、脳神経細胞の脱落が原因で生じる場合が多いです。
また、認知症の場合、「体験したことを忘れてしまいやすい」という点で、脳疲労によくみられる物忘れの症状と異なっていると言えます。
脳疲労に関連するよくある質問
脳疲労を回復させるには?
脳疲労の回復には、目を閉じて休むことでも効果が期待できます。
目を閉じて休むことで、睡眠に近い状態になることができると考えられており、副交感神経を優位にできると言われています。
副交感神経が優位になることで、リラックスすることができ、脳疲労回復の効果が見込めるでしょう。
脳疲労になりやすい人の特徴はありますか?
脳疲労になりやすい人は、以下のような特徴を持っていることが多いです。
- ストレスを溜めやすい性格である
- 睡眠が不足している
- 運動量が不足している
- 栄養バランスが偏っている
完璧主義な性格やネガティブな性格など、ストレスを溜めやすい特徴を持つ人は脳疲労になりやすいと言えます。
また、運動や食事の栄養バランス、睡眠などの生活習慣が乱れている人も脳疲労になりやすいと考えられます。
脳のオーバーヒートの症状は?
脳がオーバーヒートした場合、以下の症状が現れることがあります。
- 発熱
- 頭痛
- 疲れ
脳を酷使し自律神経に負荷がかかりすぎた場合、オーバーヒートと呼ばれる現象が起こることがあります。オーバーヒートは自律神経に負荷がかかり、脳が熱を持ってしまうことで起こると考えられているため、注意が必要です。
【監修者プロフィール】
江東こころのクリニック院長
谷本 幸多朗医師
九州大学医学部卒業後、帯広第一病院にて救急医療や外科及び内科の研修を経験する。
2013年より久喜すずのき病院にて精神科急性期医療を後期研修し精神保健指定医となる。
2018年より江東区にて一般メンタルクリニックに加えて認知症デイケアを併設した物忘れ外来も行う精神科クリニックである江東こころのクリニックを開業し、現在に至る。
▼主な経験
・精神保健指定医の経験あり
・製薬会社主催の各講演会や地域の医療職対象の勉強会において講演や座長の経験多数あり