目次
疲れとは
疲れとは精神的・身体的に過剰な負担がかかり、考えたり身体を動かしたりする能力が低下している状態と言われています。
また、疲れは「疲労」とも言い換えられることがあり、日本疲労学会による定義では「疲労」は以下のように表現されています。
「疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である。」
引用:日本疲労学会 抗疲労臨床評価ガイドライン
疲れを癒すための方法
疲れを癒すためには以下のような方法が考えられます。
- 質の良い睡眠をとる
- 深呼吸する
- 栄養のバランスを工夫する
- 湯船につかる
- 水分を補給する
- マッサージする
- マインドフルネスを実践する
- 軽く体を動かす
- 周囲の環境を整える
- 自然と触れ合う
- 生き物と遊ぶ
- 癒しグッズを使う
質の良い睡眠をとる
疲れを癒すための方法のひとつとして、質の良い睡眠をとるということが挙げられます。
質の良い睡眠とは、交互に訪れるレム睡眠とノンレム睡眠のバランスがとれていて安定感があり、脳や身体がしっかりと休まる眠りと考えられる場合が多いです。
睡眠をとっている間に疲れなどから脳や身体を回復させる成長ホルモンが分泌され、代謝が促されると言われています。また、睡眠中は脳も休まることにより、自律神経のバランスが整って疲れが癒されることが期待できます。
深い眠りにあたるノンレム睡眠の最中は、この成長ホルモンがより多く分泌されやすいです。そのためノンレム睡眠の時間をしっかりと確保することで、効率的に疲労回復を図れる可能性があります。
例えば質の良い睡眠をとる方法として、入浴することがおすすめされる場合も多いです。入浴によって、人の体温は1℃前後上昇し、血流が良くなると考えられています。
またその後、血管のひらきにより熱が体内から放散され、結果的に体温が低下していくことで、眠気を感じやすくなると言われています。そのため質の良い睡眠を取りたい場合、眠りに就く2時間程前に入浴すると良いでしょう。
他にも照明の明るさや温度、湿度など、部屋の環境を整えることでも睡眠の質を向上させられる可能性が高いです。
深呼吸する
深呼吸をすることも、疲れを癒すための方法のひとつと言えます。
日常生活を送る中で、知らず知らずのうちに、呼吸が浅くなっている人は多いと言われています。呼吸が浅くなると、心身を緊張状態にさせる交感神経が高まってしまう場合があり、心身の疲れが取れにくい状態となりやすいです。
その点、深呼吸をすることで自律神経のバランスが整い、副交感神経が優位になることでリラックス効果が得られる可能性が高いです。
深呼吸をする際、単純に酸素を深く肺に吸い込む胸式呼吸ではなく、お腹に酸素を取り込む腹式呼吸を意識することで疲れが癒されやすいです。
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栄養のバランスを工夫する
食事の栄養のバランスを工夫することも、疲れを癒すことに繋がる方法と言えます。
偏った栄養バランスの食事をしていると、だるさを感じやすくなったり、疲れやすくなったりすることがあります。
5大栄養素である以下の栄養素をバランスよく摂ることで代謝がよくなり、疲れにくくなりやすいです。
- ビタミン
- ミネラル
- 糖質
- 脂質
- タンパク質
疲労回復に良いとされている食べ物には、具体的に以下のようなものがあります。
栄養素 | 食材例 | 効果 |
ビタミンB1 | うなぎ、豚肉ヒレ | 糖質をエネルギーに変換する効果が期待できます。 |
ビタミンB2 | レバー、卵 | 脂質の代謝を助ける働きがあると言われています。 |
ビタミンB6 | バナナ、さんま | 脳の神経伝達物質を作り出すことにも関わりがあると考えられており、精神を安定させることが見込めます。 |
鉄 | かつお、牛肉の赤身 | 身体全体に酸素を運ぶ働きをすると言われています。 |
クエン酸 | レモン、梅干し | タンパク質、脂質、糖質をエネルギーに変え、疲れを軽減させる働きが期待できます。 |
例えばビタミンB群を含む豚肉やレバーなどは、エネルギーの代謝を助ける働きをし、疲労回復に繋がる重要な役割を担っていると言われています。
糖質、脂質を過剰に摂取するとその分解に必要となるビタミンB群が不足し、疲労が蓄積してしまう可能性があります。
また、疲労回復効果があると考えられているビタミンB群は水溶性で、ゆでるなどの調理過程で成分が溶け出てしまうことがあるため注意が必要です。
湯船につかる
疲れを癒す方法のひとつとして、湯船につかるということも挙げられます。
湯船につかって体が温まると、血流が良くなってこりがほぐれ、新陳代謝が促されると言われています。その結果、体内に溜まった疲労物質や老廃物が流れて酸素などが体中に行き渡り、疲れが解消されることが期待できます。
また水中では浮力が働き、体重が通常時よりも軽くなるため、身体の重みを支えている筋肉や関節が休まりやすいです。このことにより、身体全体の緊張やこわばりが改善され、疲れが癒される可能性があります。
時間をかけてぬるま湯で身体を温めると、副交感神経が優位になりやすく、疲れた身体を休められると考えられています。
ただし、過度に長い時間入浴を続けると、身体への負担が大きく疲労感を感じてしまう可能性があるため、注意が必要と言えるでしょう。
水分を補給する
水分を補給することも、疲れを癒す方法と言われています。
水分をしっかりと補給することで血液がサラサラになり、血の巡りが良くなって身体の隅々まで酸素や栄養素を運ぶことができると考えられています。
また水分補給は老廃物の排出を促し、疲れがとれやすくなる可能性が高いです。
温かい飲み物であれば、血管が拡がってさらに血行が良くなり、身体の緊張やこわばりなど疲れがとれやすくなります。
例えば温かい飲み物では、ルイボスティーなど自律神経を整えるノンカフェインの飲み物が良いと考えられています。
なお、一度に多くの水分を補給しても蓄えることができずに排出されてしまうため、コップ1杯程度の水分をこまめにとることがポイントと言えます。
就寝前に水分補給をする場合は、興奮や覚醒の作用があるカフェインを多く含む飲み物は、リラックスした眠りを確保するためには向いていないため注意が必要です。
また、アルコールも眠りのサイクルを乱すなど睡眠の質を低下させる恐れがあるため、就寝前に飲む飲み物としておすすめでないと言えるでしょう。
マッサージする
マッサージをすることも、疲れを癒す方法のひとつと言えるでしょう。
マッサージをすることで血流やリンパの流れが良くなる傾向があります。これにより体内の疲労物質や老廃物の排出が促され、疲れを改善する効果が期待できます。
また、マッサージによって肌の表面に優しく触れられることで、「幸せホルモン」と言われている「セロトニン」や「オキシトシン」が多く分泌されると言われています。
マインドフルネスを実践する
疲れを癒す方法のひとつとして、マインドフルネスを実践するということが挙げられます。
マインドフルネスとは、自分の中の価値基準や他者からの評価などを捨てて、今現在起こっている体験に向き合うことと言われています。
先々への不安や抱えている心配事、周りからの評価など、気にしてしまいがちな雑念を捨て去って脳を意識的に休ませることで、ストレスを解消に繋がり脳疲労を回復させることが見込めます。
マインドフルネスの実践方法としては瞑想が用いられる場合が多いです。また、深い呼吸を用いた呼吸法もマインドフルネスの実践方法のひとつです。
軽く体を動かす
軽く身体を動かすことも、疲れを癒す方法のひとつと言われています。
疲れている時にあえて軽く身体を動かす「アクティブレスト」という疲労回復方法が用いられることがあります。
疲労時でも逆に軽く身体を動かすことを意識することで、凝り固まった筋肉が刺激され、血液の循環が促されます。その結果、酸素や栄養素が身体のすみずみまで行き渡り、疲労物質が効果的に排出されて疲れを改善してくれる傾向があります。
また、副交感神経が優位となって精神的にも身体的にもリラックス状態になるため、心身ともにリフレッシュできる可能性が高いです。
例えば、ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動は副交感神経を優位にしてストレスを軽減させると言われています。
一方むやみに激しい運動をすると疲労に繋がってしまう場合もあるため、適度な運動を心がけることが大切だと言えるでしょう。
周囲の環境を整える
疲れを癒す方法のひとつとして、周囲の環境を整えるということが言えます。
生活環境をリラックスできる状態に整えることで、気持ちを落ち着けることに繋がり、疲れを癒すことに繋がる可能性が高いです。
例えば、部屋をやわらかいパステルカラーや自然を感じられるナチュラルなグリーンなど、心が落ち着く色使いにすることが挙げられます。
また、照明を温かみのある暖色系の間接照明にすることでも、リラックスしやすいです。
さらに、好みのアロマの香りで空間を満たすことでも、リラックス効果が見込める場合が多く、疲労の回復に繋がりやすいです。
自然と触れ合う
自然と触れ合うことも、疲れを癒す方法のひとつとして挙げられます。
自然と触れ合うとストレスホルモンであるコルチゾールの値が減少すると言われています。
また血管が拡張して、血圧や脈拍も下がることから、体の緊張状態が解けやすいと考えられています。
例えば近所の公園など、緑豊かな場所に身を置くことでも、疲れが癒される可能性が高いです。
身近に自然を感じられる場所がない場合は、室内に植物を飾ることでも癒しの効果が得られるケースがあります。
また川の音や鳥の鳴き声などなど、自然を感じられる音を聴くことでも、リラックスして疲れが軽減されることが見込めます。
生き物と遊ぶ
生き物と遊ぶことでも、疲れを癒すことができる可能性があります。
生き物と触れ合うことで、幸せホルモンと言われる「オキシトシン」が脳内に多く分泌されると言われています。その結果、副交感神経が活発になることでストレスを軽減させ、疲れた身体を癒せることが期待できます。
また、自分のペットをなでたり、抱きしめたりすることでも癒しの効果を得られる場合が多いです。
ペットを飼っていない場合は、猫カフェや犬カフェなどで生き物とふれあい、遊ぶことでも疲れを癒せる見込みがあります。
ただし、動物に対してアレルギーがある場合、症状の出方は程度にもよりますが、アナフィラキシーショックが起きる可能性もあるため注意が必要です。
癒しグッズを使う
癒しグッズを使うことも、疲れを癒すことに効果が見込めます。
疲れの種類やリラックスしたいシーンに合わせた癒しグッズを使うことで、溜まった疲れに対して効果的にアプローチできる可能性が高いです。
癒しグッズの具体的な例としては、以下のようなものが挙げられます。
- マッサージ機
- アイマスク
- アロマディフューザー など
身体の凝りなどを感じている場合の癒しグッズには、マッサージ機が適していると言えます。
マッサージをすることで凝り固まった筋肉をほぐし、血流が改善されてストレス解消になる場合があります。
スマートフォンなどの電子機器で目を酷使したり、紫外線に長時間晒されたりすることで、眼精疲労が蓄積してしまっている場合には、アイマスクを使って睡眠や休息を取ると疲れが癒されやすいです。
さらにホットアイマスクであれば目の周りが温められて血流が良くなり、目の下のクマを予防したり、疲れが取れやすくなったりする見込みがあります。
心身の疲れを感じている場合には、アロマディフューザーで精油などの香りを拡散させることで自律神経のバランスを整えてリラックス効果を得られることが期待できます。
疲れを癒したいと思う理由
精神的疲労が溜まった時に疲れを癒したいと感じやすいです。
疲れを分類すると主に精神的疲労と肉体的疲労の2種類に分けられるでしょう。
精神的疲労とは不安や悩み、気の遣い過ぎ、プレッシャーなどで脳を酷使したことによっておこる疲れのことと言われています。
肉体的疲労とは強度の強い運動をしたり、同じ姿勢をとり続けた際などに生じる疲れのことと考えられています。
疲労感として表れやすい精神的疲労の原因として、活性酸素の過剰な分泌による、自律神経の乱れが考えられます。
呼吸で取り込んだ酸素を使って身体に必要なエネルギーが作り出されますが、その際に副次的に生み出されるのが活性酸素と言われています。
血圧や呼吸などの調整を行っている脳の自律神経が、ストレスなどで酷使されると、活性酸素が過剰に発生する場合があります。活性酸素が過剰に生じると、身体が本来持っている抗酸化作用では処理しきれなくなると考えられています。
その結果、細胞の中のたんぱく質が傷つき、自律神経の機能低下につながる可能性が高いです。傷ついてしまった細胞はエネルギーを作り出す力が弱まるため、脳からの警告として疲労を感じやすくなる傾向があります。
対策をせずに放置すると解消されない疲れが積み重なって慢性疲労となり、治療に長い時間を要するケースもあるため、注意が必要と言えるでしょう。
疲れているときのチェック方法
疲れているときのチェック方法には、いくつかの項目に対して自己評価をするセルフチェックと、医療機関で検査を行う方法があると言えます。
日々の生活や症状などを自分自身で思い返して客観視することで、自分で疲れの度合いを測れる可能性が高いです。
疲れのセルフチェックを行う場合のチェック項目には、例えば以下のようなものが挙げられます。
- 食欲が減っている
- 肩まわりのこりがある
- 疲れやすく、すぐに休憩をとりたくなる
- 目の疲れが続いている
- 食べものの味が感じにくい など
ただし、セルフチェックは自身の視点のみの判断になってしまい、疲れの度合いを正確に把握することが難しい可能性が高いです。
セルフチェックに対して医療機関での検査では、身体の状態を数値化して変化の推移を確認しやすいです。
医療機関で行うチェック方法の例として、酸化ストレス測定など血液の酸化の度合いを検査する方法が挙げられます。
ただし、医療機関での検査は結果が得られるまでに時間を要することがあり、都度費用がかかってしまうというマイナス面があると言えます。
疲れを癒すことに関するよくある質問
疲れが一番取れる方法は何ですか?
疲れが取れるおすすめの方法は、質の良い睡眠をしっかりととることと言えます。
睡眠をとっている間に、疲れなどから脳や身体を復活させる成長ホルモンが分泌され、代謝が促されると言われています。
睡眠中は脳の細胞も休まるため、自律神経のバランスが整って疲れが取れることが期待できます。
疲労を早く回復させる方法は何ですか?
疲労を早く回復させるためには、以下のような生活習慣を意識する方法が挙げられます。
- 適度な運動をする
- 質の良い睡眠をとる
- 栄養バランスが良い食事をする など
日々の生活の中で積み重なっていく疲労は、生活習慣を見直さないと取れにくい場合が多いです。普段の生活自体に疲労回復につながる方法を組み込んで、繰り返し続けることが必要と言えます。
ウォーキングやストレッチなどの適度な運動は、血流が良くなり酸素や栄養素を全身に行き渡らせるため、疲労物質を身体の外に排出しやすいです。
また、質の高い睡眠をとることで、より多くの成長ホルモンが分泌されて代謝が促されるため、効率的に疲労回復しやすいです。
さらに、栄養バランスが良い食事をすると代謝がよくなり、疲れが取れやすい身体になる可能性が高いです。
やってはいけない疲れを癒す方法はありますか?
ドライブで疲れを癒そうとするのは控えた方が良いと言えます。
疲れているときに運転をすると注意力が散漫になり、集中力も低下する傾向があります。その結果、危険を察知するのが遅れて交通事故につながりやすいです。
また渋滞や信号などでイライラしやすくなるなど、かえって疲労を感じてしまう可能性もあります。
疲れすぎた時はどうすれば良いですか?
疲れすぎた時は疲労回復効果が高いと言われている睡眠をとったり、入浴してみたりすると良いでしょう。
睡眠中は血圧が下がり、心拍数なども落ち着いて、筋肉などもリラックス状態になると言われています。
お風呂に入ると血流が改善し凝りがほぐれるため、疲れが取れる可能性が高いです。また、入浴剤を入れることでさらに血行促進が見込めたり、香りの効果でリラックスできたりすることも期待できます。
心が疲れているときのサインは何ですか?
心が疲れているときのサインは以下のようなものが挙げられます。
- 怒りっぽく、些細なことでイライラしやすい
- 明るい未来が想像できず、死にたくなる
- 食べたいという欲求がない、もしくは食欲がありすぎる
- 集中して判断することができない
- なかなか寝付けない、もしくは何時間も寝すぎてしまう
- ネガティブな気分がずっと続く
- 無気力で何事にも意欲が湧かない
- 誰からも必要とされていない役立たずの人間だと感じる
- 今まで好きだったことや興味があったことも楽しめず関心がない
心の疲れのサインは目に見えないことが多く、心が限界になるまで気付かないというケースもあります。
日常的にできていることができない、いつも通りの気分になれないなど、通常時と違う症状が出ている場合は注意が必要です。
【監修者プロフィール】
江東こころのクリニック院長
谷本 幸多朗医師
九州大学医学部卒業後、帯広第一病院にて救急医療や外科及び内科の研修を経験する。
2013年より久喜すずのき病院にて精神科急性期医療を後期研修し精神保健指定医となる。
2018年より江東区にて一般メンタルクリニックに加えて認知症デイケアを併設した物忘れ外来も行う精神科クリニックである江東こころのクリニックを開業し、現在に至る。
▼主な経験
・精神保健指定医の経験あり
・製薬会社主催の各講演会や地域の医療職対象の勉強会において講演や座長の経験多数あり