目次
【疲れてるのに寝れないのはなぜ?】主な原因・理由
疲れているのに寝れない場合、主な原因や理由は以下のものが挙げられます。
- 過度なストレス
- 刺激となる行動
- 加齢
- 整っていない睡眠環境
- 乱れた生活リズム
- 不眠の症状が出る疾患
過度なストレス
疲れているのに寝れない理由の1つとして、過度なストレスが挙げられます。
ストレスや緊張を感じていると、脳の覚醒を促す交感神経が優位になり、睡眠の質が低下すると考えられています。交感神経が活発になると、身体をリラックスさせる副交感神経の働きを妨げ、寝れない状態に陥りやすいです。
また、ストレスが蓄積すると、ストレスホルモンと言われるコルチゾールの分泌が増えるため、寝れなくなることがあります。
例えば、1日を振り返り、自分の言動にネガティブになると、不安や後悔などの思考が止まらなくなる場合があります。そうすると、心身ともに休まらない状態になってしまう可能性が高いでしょう。
そして、寝れないのに無理に寝ようとすると、交感神経を刺激し、さらに寝れなくなる傾向にあります。
さらに、ストレスは自分の意識とは関係なく、脳内に溜まってしまうこともあります。ストレスを感じる出来事が続くと、慢性的に寝れなくなる場合が多いと言われています。
刺激となる行動
疲れているのに寝れない場合、刺激となる行動が原因であると考えられています。
刺激となる行動の例としては以下の通りです。
- 激しい運動
- 高温のお風呂での入浴
- 電子機器の使用
- 照明が明るい中での入眠
- 過剰な飲酒
寝る前に刺激となる行動をすると、疲れていても寝れなくなることが多いです。刺激となる行動は交感神経の働きを優位にさせると考えられています。交感神経の働きが優位になると、心身を休ませる副交感神経の働きが抑えられ、眠気が起こりにくくなります。
また、交感神経の働きが優位になると、脳が興奮状態になり寝れなくなる傾向にあります。
なお、アルコールを摂取すると、短時間で寝れる場合が多いですが、眠りが浅くなり、結果的に睡眠の質が低下すると言われています。
加齢
疲れているのに寝れない理由は、加齢によるケースが考えられます。
年齢を重ねると、睡眠ホルモンと言われるメラトニンの分泌が低下する傾向にあります。メラトニンの分泌が低下すると、体内時計による1日周期の体内リズムが整いにくくなると考えられています。そして、体内時計のリズムが崩れることで睡眠リズムも崩れる場合が多いです。
睡眠リズムが崩れた場合の主な症状として、就寝時間が早くなったり、夜中や早朝に目が覚めたりといった症状が挙げられます。その結果、睡眠の質が低下してしまうと言えます。
また、年齢を重ねるにつれ、生体リズムの周期が徐々に短くなるため睡眠障害が引き起こされるとも言われています。
なお、体内リズムは常時一定ではなく、加齢以外のさまざまな要因で変化すると考えられているため注意が必要でしょう。
整っていない睡眠環境
睡眠環境が整っていないと、疲れているのにも関わらず寝れないことがあります。
睡眠環境とは、室温や湿度、騒音、光や照明、寝具など、寝室の環境のことを指します。寝室の環境が整っていない場合、寝つきが悪くなったり、浅い睡眠になったりすると考えられています。そのため、心地よく、質の良い睡眠を得るには、睡眠環境を整えることが大切と言えます。
例えば、寝室にブルーライトを発する電子機器があると睡眠の質を下げると考えられています。照度が高い光を浴びると、睡眠ホルモンと言われるメラトニンの分泌が抑えられる傾向にあるからです。
また、50dB以上の音環境の場合、半数程度の人は睡眠が妨げられると言われています。一方、無音の場合でも、小さな音が気になってしまい、眠りにつきにくくなる可能性があります。
加えて、室温が季節に合った適温でないと、体内温度が下がらず、寝つきが悪くなる場合があります。これは、体内温度が効率的に下がることで睡眠を促しやすいと言われているからです。
なお、湿度が高いと、体内の熱を外へと発散しにくくなるため、目が覚めやすくなり、眠りが浅くなることが多いでしょう。
人によっては、わずかな明かり、外から漏れる自動車の音でも目が覚めてしまう場合があるため、注意が必要と言えます。
乱れた生活リズム
生活リズムの乱れが原因で、疲れているのに寝れない場合があると言われています。
生活リズムが乱れると、体内時計のリズムが崩れるため、寝れなくなるケースがあります。理由としては、体内時計のリズムが崩れるのと同時に、睡眠時間帯が乱れやすくなるからです。
体内時計は、寝る時刻を定めるのみではなく、睡眠ホルモンの分泌を促すなど、睡眠の準備をする役目も担っていると考えられています。
夜ふかしや食生活の乱れは、体内時計のリズムの崩壊を招くと言われています。そのため、昼と夜との区別がつかないような生活が続くと、睡眠時間帯が乱れる可能性があります。また、日によって寝る時刻が異なると、寝つきが悪くなる傾向にあります。
体内時計は自分でコントロールできるものではないため、正しい生活リズムを心がけることが大切だと言えるでしょう。
不眠の症状が出る疾患
不眠の症状が出る疾患を患っていると、疲れているのに寝れない傾向にあります。
体の病気や心の病気を発症すると、不眠の症状が引き起こされる場合があります。さらに、病気以外にも、特殊な睡眠障害が原因で、不眠の症状に陥ることも考えられます。しかし、病気や障害に適した治療をすることで、不眠の症状が改善しやすいと言われています。
不眠を伴う疾患の例として、以下のものが挙げられます。
- うつ病
- 睡眠時無呼吸症候群
- レストレスレッグス症候群
他にも、体の一部がかゆかったり、痛かったりすると、寝れないことが多いです。
このように、ただの不眠だと思っていたら、実は病気を患っているというケースもあります。寝れなかったり、気分が落ちたりすることが多い場合は、医療機関を受診することを検討しましょう。
夜に体が疲れてるのに寝れないときの対処法
夜に体が疲れてるのに寝れないときの対処法は、以下の通りです。
- 深呼吸をする
- ツボを刺激する
- 入浴をする
- ストレッチをする
- リラックスする香りをかぐ
- 悩みを紙に書き出す
深呼吸をする
夜に体が疲れているのに寝れないときの対処法の1つとして、深呼吸が挙げられます。
寝れずに焦ってしまうと、緊張状態に陥り、一層寝れなくなるという悪循環が考えられます。寝れないときは、深呼吸を行い、呼吸に意識を向けることで、自然と眠れる可能性が高いです。
深呼吸をすると、心身を休息させる働きをもつ副交感神経を優位に働かせることができるため、眠りに入りやすくなると言われています。
なお、深呼吸をするときには、腹式呼吸を意識してみると良いでしょう。
腹式呼吸のやり方は以下の通りです。
- 楽な姿勢で横になる
- お腹がへこむのを意識しながら、口からゆっくりと息を吐く
- ゆっくりと鼻から息を吸い込む
- 無理のない範囲で数分間続ける
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ツボを刺激する
夜に体が疲れているのに寝れないときには、ツボを刺激すると効果があると言われています。
手や足、頭には、不眠症状の改善が期待できるツボがあると言われています。そのなかでも、リラックス効果のあるツボを刺激すると、緊張がほぐれ、寝れるようになる場合があります。
また、自律神経を整えるツボを刺激すると、副交感神経が優位に働き心身がリラックス状態となって、寝やすくなることが期待できます。
効果が得られやすいツボとしては、神門、百会、労宮、失眠と言われるツボが代表的と言われています。これらのツボを手で押したり、お灸や湯たんぽで温めたりと、ツボの場所によって刺激の加え方を工夫すると良いでしょう。
入浴をする
入浴をすることは、夜に体が疲れているのに寝れないときの対処方法として有効と言われています。
入眠ニューロンという神経細胞が活性化すると、眠りやすくなります。入眠ニューロンが活性化するのは、体温が上がるときと言われています。そのため、寝る前に入浴をし、体温を上げることで、自然に眠れる可能性が高まるでしょう。
なお、寝室を適度に温めておくことも効果があると言えるでしょう。
ストレッチをする
夜に体が疲れているのに寝れないとき、ストレッチをすると効果を得やすいです。
この場合のストレッチとは「静的ストレッチ」のことを指します。静的ストレッチとは、反動を用いず、関節や筋肉をゆっくりと伸ばしていくストレッチです。
ストレッチは体の緊張をほぐすため、睡眠しやすくなる効果が見込めます。そして、ストレッチをすると、血圧や心拍数が下がるため、副交感神経が優位に働きやすいです。副交感神経が優位な状態になると、心身が落ち着き、睡眠を促すと言えます。
なお、呼吸をしながら、じっくりと時間をかけて関節や筋肉を伸ばすというストレッチのやり方が効果的と考えられています。
しかし、反動をつける「ダイナミックストレッチ」をしたり、ストレッチをやりすぎたりすると、逆効果となるケースがあります。この場合、交感神経が活発になってしまうため、ストレッチのやり方には注意が必要だと言えます。
リラックスする香りをかぐ
夜に体が疲れているのに寝れないときには、リラックスする香りをかぐと、対処しやすいと言えます。
香りをかぐと、脳内の視床下部という器官に刺激が伝達されると考えられています。視床下部とは、自律神経やホルモンバランスを司る重要な器官です。
リラックスする香りが視床下部へと刺激を与えることで、自律神経のバランスが整うと考えられています。その結果、体もリラックスした状態になり、深い睡眠が見込めます。
悩みを紙に書き出す
悩みを紙に書き出すと、夜に体が疲れているのに寝れない状態から改善することがあります。
寝る前に悩みや気になることを考え始めると、頭の中で思考が止まらなくなることがあります。思考が働きすぎると、興奮状態になり、結果的に寝れない場合が多いです。
この場合、紙に悩みを書き出すと冷静になりやすいと言えます。冷静になり、リラックスすることで眠る準備が整う可能性が高いです。
その上、悩みなどのマイナス感情を書き出すとストレスが軽減する傾向にあるため、良質な睡眠にもつながると考えられます。
【疲れてるのに寝れない状態にならないために】普段からできる対策方法
疲れてるのに寝れない状態にならないために、普段からできる対策方法として、以下が挙げられます。
- 生活リズムを整える
- 運動を習慣化する
- 栄養バランスを意識する
- 寝る前は電子機器を控える
- 睡眠環境を整える
生活リズムを整える
眠るための対策方法の1つとして、生活リズムを整えることが挙げられます。
生活リズムを整えることで、規則正しい生活ができるため、体内時計のリズムも整うと言えます。体内時計のリズムが整うと、睡眠時間帯が一定になりやすいでしょう。
例えば、起床時間を一定にすると、体内時計のリズムを正しく保つことができる可能性が高いです。朝起きてすぐに太陽光を約15分間浴びて、体内時計をリセットさせると効果が見込めます。
しかし、体内時計のリセットがうまくいかないと、眠りに入る時間が遅くなってしまう場合もあるため、注意が必要と言えます。
運動を習慣化する
運動を習慣化することは、眠るための対策方法として効果的と言われています。
日中に有酸素運動をすると、ほどよく疲労を感じ、睡眠の質が高まると考えられています。有酸素運動を習慣化することで、眠りにつきやすい体質づくりにつながると言えます。
そのなかでも、ウォーキングやジョギング、縄跳びなど筋肉を一定のリズムで動かす運動が向いていると言われています。
しかし、寝る直前に激しい運動をすることは、興奮して寝れなくなる可能性があるため、控える方が良い場合があります。そして、短期間に集中して運動するよりも、無理のない範囲で運動を習慣化することに意味があると考えられています。
栄養バランスを意識する
栄養バランスを意識することは、対策方法として有効と考えられています。
睡眠の質を高める栄養素の1つにトリプトファンが挙げられます。トリプトファンは体内でセロトニンに変化し、セロトニンはストレスを緩和する働きをします。
そして、夜になるとセロトニンは睡眠ホルモンと呼ばれる、メラトニンに変化すると言われています。したがって、トリプトファンが多く含まれている食材を摂取すると、自然な睡眠を促されると考えられます。
トリプトファンが多く含まれている食材の例としては、以下の通りです。
- 大豆製品
- 乳製品
- まぐろ
- ナッツ
- 卵
- 牛肉・鶏肉・豚肉
- バナナ
トリプトファンを含む食材を摂取した後、日光を浴びるとセロトニンの合成が活性化すると言われています。また、トリプトファンとともに炭水化物を摂取すると、トリプトファンの脳への移行を補助しやすいです。そのため、バランス良い朝食をとることは、トリプトファンの吸収を助け、セロトニンの合成にも合理的と言えます。
寝る前は電子機器を控える
寝る前は電子機器を控えると、眠るための対処方法として効果が見込めます。
電子機器とは、ブルーライトを発する、スマートフォンやテレビ、パソコンなどを指します。ブルーライトは日光にも含まれるため、ブルーライトを見ると、夜でも昼間だと身体が認識してしまうことがあります。
また、ブルーライトは、睡眠ホルモンと言われるメラトニンの分泌サイクルを崩してしまう傾向があります。そのため、電子機器を使用すると、睡眠を妨げてしまうと考えられます。
そのうえ、メラトニンの分泌サイクルが崩れると、他のホルモンバランスも崩れる可能性があるため、自律神経にも影響が及ぶと言われています。
睡眠環境を整える
睡眠環境を整えることで、眠れない状態に対処しやすいと言われています。
寝つきの良さ、眠りの深さは、睡眠環境の影響を受けやすいと考えられています。したがって、睡眠環境を整えることで、寝つきやすく質の高い眠りにつながると言われています。
具体的には、季節に応じて寝室を適切な温度や湿度に調整すると、寝つきやすくなったり、中途覚醒がおきにくくなったりします。また、寝る際、テレビやラジオを切ることで、中途覚醒を避けられる可能性が高いと言われています。そして、自分に合うベッドや枕、パジャマを整えて寝ると、深く眠れるケースがあります。
なお、寝室は以下のような条件が適していると言えるでしょう。
- 照度:完全に暗くする
- 湿度:40〜70%
- 室温:夏は26度前後、冬は20度前後
- 寝間着:リラックスでき、適度に吸水性や吸湿性があるもの
さらに、寝室にテレビを置いたり、スマートフォンを持ち込んだりしないことも対策の1つと言えます。
疲れてるのに寝れないときに考えられる病気
疲れてるのに寝れないときに考えられる病気として、以下が挙げられます。
- うつ病
- 睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠相後退症候群
- 更年期障害
- 起立性調節障害
生活環境や睡眠環境を整えても寝れない時は、上記のような病気に罹患している場合があります。上記に挙げた病気は、不眠症状を伴っているケースが多いです。
この場合、早めに医療機関を受診し、治療を始めることで改善が見込めます。治療内容は個人差があるため、専門医に相談した方が良いでしょう。しかし、治療を先延ばしにすると、不眠症状のみでなく、他の症状を併発する可能性があるため、注意が必要です。
疲れてるのに寝れないことに関連するよくある質問
眠れない時に横になると休まりますか?
眠れない時に横になると、肉体的には休まると言えます。
眠れないとしても、横になることで疲労がとれ、リラックスできる可能性があります。ただし、無理矢理寝ようとして横になっても、寝室は眠れない場所として脳が徐々に理解してしまう場合があります。
さらに、眠れない時に横になる状態を続けていると、ストレスの原因となる考え事をしやすくなり、ますます眠れなくなることもあるため注意が必要です。
不眠症になりやすい人はどのような特徴がありますか?
不眠症になりやすい人はストレスを感じやすく、真面目という特徴が見られます。
人はストレスや緊張感を感じると、自律神経のバランスに支障をきたすことが多いです。自律神経のバランスが崩れるとリラックスした状態になりにくく、不眠症に陥りやすいと考えられます。
加えて、真面目な人は完璧を求めたり、責任感を抱えやすかったりするため、緊張感を感じやすいと言えます。また、性格のみでなく、環境由来のストレスを感じやすい人も不眠症になりやすいと言われます。
不眠症の症状にはどのような種類がありますか?
不眠症の症状として、以下の4つの症状が挙げられます。
- 入眠障害(眠るまでの時間を要する)
- 熟眠障害(眠りが浅い)
- 早期覚醒(早く目覚めてしまう)
- 中途覚醒(途中で目覚めてしまう)
不眠症とは上記のような症状が1カ月以上続き、日中に疲労感を感じたり、食欲が落ちたりする疾患のことです。不眠症は20〜30代でも発症することがあり、高齢になるにつれ、発症者は増加する傾向にあります。
なお、高齢になると早期覚醒や中途覚醒の症状が現れる人の割合は、増加する傾向にあります。不眠症の発症を感じた場合、自身がどの症状に当てはまるか認識しておくことが大切だと言えます。
【監修者プロフィール】

江東こころのクリニック院長
谷本 幸多朗医師
九州大学医学部卒業後、帯広第一病院にて救急医療や外科及び内科の研修を経験する。
2013年より久喜すずのき病院にて精神科急性期医療を後期研修し精神保健指定医となる。
2018年より江東区にて一般メンタルクリニックに加えて認知症デイケアを併設した物忘れ外来も行う精神科クリニックである江東こころのクリニックを開業し、現在に至る。
▼主な経験
・精神保健指定医の経験あり
・製薬会社主催の各講演会や地域の医療職対象の勉強会において講演や座長の経験多数あり