目次
ストレスを感じると呼吸が浅くなる?
ストレスを感じると、呼吸が浅くなることがあります。
呼吸と感情は深く結びついているため、ストレスを感じると浅く速い呼吸になり、逆にリラックスしている状態では深くゆったりとした呼吸になります。これは、交感神経と副交感神経の影響によるものだと考えられています。
交感神経が優位になると、呼吸筋が緊張し、結果的に浅い呼吸を引き起こします。例えば、職場や学校で苦手な人と話す場面で息苦しさを感じることは、その典型的な例と言えます。
さらに、日常的に浅い呼吸が続くと、体内に必要な酸素が行き渡らなくなり、頭痛やめまい、疲労感を感じやすくなる可能性があります。このため、深い呼吸を意識することが、身体と心の健康を保つ上で重要と言えます。
ストレスで呼吸が浅いと感じたときの対処法
ストレスで呼吸が浅いと感じたときの対処法として、主に以下4つの方法が挙げられます。
- 鼻呼吸を心がける
- 適度な無理のない範囲で運動をする
- 深呼吸を習慣化する
- 腹式呼吸を心がける
鼻呼吸を心がける
ストレスで浅い呼吸になった場合、鼻呼吸を試みることがおすすめです。
鼻呼吸を意識すると、自然と深い呼吸へとつながりやすくなります。具体的には、口から息を吐いた後、4秒かけて鼻からゆっくりと息を吸い込み、その後再び口からゆっくりと息を吐くことを繰り返します。
ただし、普段から口呼吸をしている場合、鼻呼吸に慣れるまでに時間がかかることがあります。その場合は、焦らず徐々に取り組むことが大切です。
適度な無理のない範囲で運動をする
ストレスを感じた際の対策として、適度な運動を行うことが有効であると言われています。
運動をすると全身の筋肉が動き、自然と深い呼吸となることがあります。首から胸にかけて筋肉を動かすような運動は、呼吸筋を活性化させるためおすすめです。
運動は、10分〜20分程度を目安に、毎日継続できるものを選ぶと良いでしょう。また、運動後に心地良い疲労感が得られるような運動が理想的です。
例えば、ウォーキングやヨガなどの運動は簡単に始められるため、おすすめであると言えるでしょう。結論、無理をせず、自分のペースで運動できる運動を選ぶことが大切です。
深呼吸を習慣化する
ストレスで呼吸が浅いと感じた際は、深呼吸をすると良いでしょう。
深呼吸のようなゆっくりとした呼吸は副交感神経を優位にさせるため、リラックス状態にさせることができると言われています。
深呼吸を行う際は、鼻から空気を吸い込み、肺をゆっくりと膨らませることを意識すると良いでしょう。また、吐く息は口をややすぼめ、ゆっくりと長く吐き出すようにしましょう。ただし、長時間深呼吸を行うと疲労を感じる場合もあるため、無理のない範囲で行うことが大切です。
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腹式呼吸を心がける
ストレスで呼吸が浅いと感じたときの対処法の一つに、腹式呼吸があります。
腹式呼吸とは、息を吸ったときにお腹を膨らませ、吐くときにお腹を縮める呼吸法です。この呼吸法は、肺にしっかりと空気を送り込み、必要な酸素を取り込むことで副交感神経を優位にさせます。
その結果、リラックスした深い呼吸に整えることができます。
腹式呼吸を行う際は、リラックスできる姿勢をとりましょう。まず、鼻からゆっくりと息を吸い込み、お腹が膨らむことを意識します。その後、お腹を縮めることを意識しながら口から息をゆっくりと吐きます。
ただし、腹式呼吸をすると息苦しさを感じることがあるため、無理のない範囲で行いましょう。
ストレスで呼吸が浅いときの心身への影響
ストレスで呼吸が浅いときの心身への影響として、主に以下が挙げられます。
- 精神が安定しにくくなる
- 疲れやすくなる
- 集中力が落ちる
- 身体全体が冷え込みやすくなる
- 自律神経が不安定になる
- 体調を崩しやすくなる
精神が安定しにくくなる
ストレスで呼吸が浅くなると、精神が安定しにくくなります。
浅い呼吸は、身体に必要な酸素を供給できないため、脳の働きを低下させ、自律神経のバランスを崩してしまうことがあります。その結果、副交感神経への切り替えがうまくできなくなり、この状態が続くと、不安感が増し、心が安定しにくくなります。
仕事や学校でのストレスによって浅い呼吸が続くと、副交感神経の働きが抑制され、不安感がさらに強くなる悪循環に陥りやすくなります。この状態が続くと、ストレスが蓄積し、心身への負担が大きくなってしまいます。
このような状況を改善するためには、意識的に深い呼吸を取り入れることが効果的と言えます。深い呼吸を行うことで、副交感神経を活性化させ、リラックスした状態を作り出すことが期待できます。
疲れやすくなる
呼吸が浅くなると、疲れやすくなることがあります。
呼吸が浅い状態では、体内での酸素と二酸化炭素の交換効率が低下します。これは、肺に取り込まれる酸素の量が減少し、結果として血液中の酸素濃度が低下するためです。
また、酸素不足は、代謝の低下を促す場合があります。代謝が落ちると、エネルギー供給が不足し、疲れやすさを感じるようになります。さらに、疲れやすさを自覚することで、ストレスを感じるという悪循環に陥る可能性があります。
例えば、緊張が続く会議では、ストレスによって呼吸が浅くなり、身体がだるさを感じたり、疲労感を覚えることがあります。
また、疲れやすくなると精神的ストレスのみでなく、身体的ストレスを感じるようになります。このような状況を防ぐために、意識的に深い呼吸を行い、リラックスできるようにしましょう。
集中力が落ちる
呼吸が浅くなると、集中力が落ち、集中が続きにくくなる場合があります。
呼吸が浅くなると脳への酸素供給が不足します。脳へ送られる酸素が足りなくなると、集中力が落ち、作業に対する注意力が散漫になりがちです。
また、ストレスがかかる作業を長時間続けていると、呼吸が浅くなる傾向があります。その結果、「頭がぼんやりする」「ミスが増える」といった症状を経験することがあるかもしれません。これらは、ストレスによる呼吸の浅さが集中力の低下を引き起こしている例と言えます。
そのため、集中力の低下を感じた場合は、意識的に深呼吸を取り入れて脳に酸素を送るようにしましょう。
身体全体が冷え込みやすくなる
呼吸が浅くなると身体全体が冷え込みやすくなります。
呼吸が浅くなると身体に取り込まれる酸素の量が少なくなります。酸素は、生命維持に必要な臓器である脳や心臓へ優先的に送られます。そのため、手や足などの末梢部分への酸素供給が後回しになってしまい、その結果、血流が低下し、手足の冷えを感じやすくなります。
血流が低下して身体が冷えると、体温調節が難しくなり、さまざまな身体の不調を引き起こす可能性があります。そのため、呼吸を深くし血流を促進することは、身体全体の冷えを防ぐために重要であると言えます。
自律神経が不安定になる
浅い呼吸が続くと、自律神経のバランスが崩れ、不安定な状態になる可能性があります。
自律神経には、身体を緊張状態にさせる交感神経とリラックス状態にさせる副交換神経があります。
これらの神経が適切に切り替わることで、緊張状態とリラックス状態のバランスを保っています。
しかし、浅い呼吸は交感神経を優位にさせ、副交感神経を抑制してしまいます。さらに、浅い呼吸が続くことで交感神経が優位となる時間が多くなり、自律神経が乱れやすくなります。
自律神経が不安定になると、ストレスを感じやすくなるのみでなく、食欲不振や睡眠障害など、身体に悪影響を及ぼしてしまうことがあるため、注意が必要です。
体調を崩しやすくなる
呼吸が浅い状態が続くと、免疫力が低下し、体調を崩しやすくなることがあります。
浅い呼吸では身体に必要な酸素が満足に行かず、血流が滞りやすくなります。酸素不足と血流の低下は、免疫細胞の活動を鈍くさせるため、細菌やウイルスに対抗しにくくなり、結果、体調を崩しやすくなります。
呼吸が浅い状態が慢性化している場合は、免疫力の低下のみでなく、その他の健康問題を抱えてしまう可能性があるため、早めに改善に取り組みましょう。
ストレスを解消する方法
ストレスを解消する方法には様々な方法があります。
- 睡眠時間をしっかり確保する
- 適度な運動を取り入れる
- 太陽の光を浴びる
- 浴槽にゆっくりつかる
- 音楽を聴く
- ドラマや映画鑑賞をする
- 自分の感情をノートに書く
- 好きなものを食べる
- 大きな声を出す
- 歌を歌う
- 家の掃除をする
- 信頼できる友人と話をする
- 何もしない時間を過ごす
身体を動かすことでストレス解消になる人もいれば、静かに本を読む時間がストレス解消になる人もいます。
人により適切なストレス解消方法が異なるため、自分に合った方法を見つけましょう。
ストレスで呼吸が浅いときに関連するよくある質問
ストレスが限界のときに出る症状は?
ストレスが限界のときに出る症状には、以下のものがあります。
- 頭痛を催す
- 胃痛や胃に不快感がある
- 疲労感がある
- 動悸が激しくなる
- 食欲が低下する
- めまいがする
- 腹痛や下痢になる
- 突然涙が出る
- 今まで楽しめたことが楽しいと感じなくなる
- 片付けができなくなる
- 集中力が低下する
- イライラする
- 眠れなくなる
- 笑顔がなくなる
- 家から出なくなる
- 朝布団から出られなくなる
- 身だしなみが乱れる など
ストレスが積み重なり、発散できない状態が続くと心や身体にサインが現れます。このような状態を放置すると、病気を発症してしまう場合があるため、注意が必要です。
呼吸が浅い時のツボは?
呼吸が浅い時に押すと効果がある「膻中(だんちゅう)」と呼ばれるツボがあります。
膻中は胸の中央にある、乳頭と乳頭を結んだ中間にあるツボです。このこの膻中を押すことで、胸部の緊張を和らげる効果が期待できます。胸部の緊張を和らげることで、深い呼吸がしやすくなるため、リラックスした状態を促すのに役立ちます。
ストレスで呼吸がおかしいのはなぜですか?
ストレスで呼吸がおかしくなるのは、ストレスによって自律神経が乱れてしまうためです。
自律神経は呼吸に大きく関わっています。ストレスを感じると交感神経が優位になり、呼吸が浅く、速くなることがあります。
【監修者プロフィール】

江東こころのクリニック院長
谷本 幸多朗医師
九州大学医学部卒業後、帯広第一病院にて救急医療や外科及び内科の研修を経験する。
2013年より久喜すずのき病院にて精神科急性期医療を後期研修し精神保健指定医となる。
2018年より江東区にて一般メンタルクリニックに加えて認知症デイケアを併設した物忘れ外来も行う精神科クリニックである江東こころのクリニックを開業し、現在に至る。
▼主な経験
・精神保健指定医の経験あり
・製薬会社主催の各講演会や地域の医療職対象の勉強会において講演や座長の経験多数あり