目次
ストレスコントロールとは
ストレスコントロールとは、主にストレスそのものや、その要因となる物事に適切に対処することを指すと言われています。
なお、ストレスコントロール力は、2006年に経済産業省が提唱した「社会人基礎力」という概念に含まれる考え方です。経済産業省は、社会に出て働くうえで、学力や知識といった要素とは異なる力が重要だとしています。
具体的には、思考力や行動力、チーム内での連携力といった能力を身に付けることを提唱しています。これらの能力の中でも、チームで連携して働く際に必要な要素であるとされているのが、ストレスコントロール力です。(※)
また、社会に出ると、職場の人付き合いや業務内容への不満、給与にまつわる悩みなど、さまざまな要因でストレスが発生しやすい傾向にあります。
想定外のトラブルが発生することもあり、その際には臨機応変な対処が求められることも少なくありません。そのため、ストレスコントロール力は、ストレスに振り回されず、さまざまな出来事に対応するために重要な手段の一つであると言えます。
また、ストレスコントロールと混同されがちな概念の一つが、ストレス耐性です。ストレスコントロールは、様々なストレス要因への適切な解消法や対処方法とされることが多い一方で、ストレス耐性は、ストレスに対する我慢強さや物事への粘り強さの程度を示すものとされています。
※社会人基礎力に関する研究会 -「中間取りまとめ」- 社会人基礎力の能力要素(2024年10月調査時点)
ストレスをコントロールする方法
ストレスをコントロールするための主な方法として、以下のものが挙げられます。
- ストレス源を把握する
- 深呼吸をする
- 趣味を見つけて生活を充実させる
- ポジティブシンキングを身につける
- 適度なストレスを感じる環境に身を置く
- 睡眠を満足にとる
ストレス源を把握する
ストレスをコントロールする方法として有効だと考えられているのが、ストレス源を把握して、その原因に対して適切な行動を取ることです。
ストレスの原因によって適切な対処法は異なるため、まずはストレス源を把握することが大切だと言えるでしょう。
さらに、ストレス源を追及する過程で、本人が把握していないストレスを発見し、解決に向けたアプローチを取れる可能性があります。
ストレスのサインを見逃さず、ストレス源と適切に向き合えると、早い段階で効果的にストレスを和らげられる見込みが大きいです。
例えば把握が難しいストレスの原因として、長時間労働による疲労の蓄積などが考えられます。そういった曖昧なストレス源を把握するための手法として挙げられるのが、ストレスを感じる場面や、ストレスを感じる原因などを紙に書き出す行為です。
書き方については、リスト形式や文章の羅列など、自身が書きやすいと思った方法を取ることが有効とされています。なお、期間については、可能であれば毎日、数週間程度書き続けることが望ましいと言われています。
深呼吸をする
ストレスをコントロールしたいときは、深呼吸をすることも対処方法の一つです。ストレスに晒されて感情的になると冷静さや客観性を失いがちで、ストレスをコントロールしづらい傾向にあります。
その点深呼吸をすると心拍が下がり、副交感神経が刺激されて、心と身体が休息モードに入るとされています。そのため、深呼吸して感情を落ち着かせることが効果的だと言えるでしょう。
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趣味を見つけて生活を充実させる
趣味を見つけて生活を充実させることが、ストレスのコントロールに役立つ場合があります。これは、自身が好きなことをすると、ドーパミンの分泌が促進されて明るい気持ちになり、ストレス発散を実現しやすいためであると言われています。
趣味に時間を使うことは、ストレスの原因から距離を取るきっかけにもなる可能性が高いです。その結果、不快な思い出や感情が薄れることが期待できます。
以下は、ストレス発散が期待できる趣味の代表例です。
- 運動
- サウナ
- スポーツ観戦
- 映画鑑賞
- 旅行
- カラオケ
- ショッピング
ポジティブシンキングを身につける
ポジティブシンキングを身につけることも、ストレスをコントロールする有効な方法として役立つことがあります。
ネガティブな思考を続けてしまうと、物事を否定的に捉えたり、焦燥感や心配事を感じたりする機会が増えがちです。その結果、ストレスが溜まることが懸念されます。
そのためストレスを感じる機会があっても、それが自身の成長に繋がるきっかけだとポジティブに捉えられると良いでしょう。そのように考えることで、ストレスを軽減できる可能性があります。
適度なストレスを感じる環境に身を置く
適度なストレスを感じる環境に身を置くことは、ストレスコントロールができるようになるための方法の一つです。
また、適度なストレスを経験することは、必ずしも悪いことではないと考えられています。これは、ストレスに対する自分の思考や、ストレスの要因に対処する方法の発見に繋がる可能性があるためです。
さらに、自身のストレスの傾向がわかれば、ストレスを適切にコントロールしやすくなることが期待されます。
睡眠を満足にとる
ストレスをコントロールする手段の一つとして挙げられるのが、睡眠を満足に取ることです。睡眠時間が足りている人の身体では、抗ストレスホルモンであるコルチゾールが、適正な時間帯や量を守って分泌されやすくなると言われています。
しかし、睡眠不足が続いた場合、コルチゾールの分泌量が常時増えた状態に陥ってしまうことも少なくありません。本来ストレスへの対処が必要なタイミングで、コルチゾールが分泌されにくくなる恐れがあるため、注意しましょう。
このような理由から、睡眠不足はストレスを感じた際に対処する力を弱めてしまう場合が多いです。そのため、夜は睡眠を取って、コルチゾールの分泌量が減少する時間帯を作りだすことが大切だと言えるでしょう。
コントロールできるストレスの種類
ストレスの種類は主に、心理的、身体的、社会的、物理的の4つに分けて考えることが可能です。ストレスの種類によって、コントロールの可否は変わるとされています。
主なストレスの種類とそれぞれの詳細は、以下の通りです。
ストレスの種類 | ストレスの詳細 |
心理的なストレス | 個人的な悩みや問題、課題感など |
身体的なストレス | 睡眠不足や疲労、空腹感、疾患など |
社会的なストレス | 職場の悩みや家庭の問題、金銭トラブル、人間関係など |
物理的なストレス | 光や温度、騒音など |
コントロールできるストレスは、基本的に原因が自分にある場合だと考えられています。
ストレスの原因が自分にある場合、原因の解消や回避を主体的に行いやすく、ストレスをコントロールできる見込みが大きいです。
例えば、自分のミスが原因でストレスを感じている場合、そのミスが発生した理由を考えることが効果的だと言えるでしょう。
ミスが発生した理由がわかれば、適切な対策を講じやすくなり、ストレスを回避できる可能性も高いです。
また、人間関係に起因するストレスも、自分の思考や相手への接し方を変えることで改善が望めるため、コントロールしやすい傾向にあります。
一方で外部に原因があるストレスは、コントロールすることが難しい場合が多いです。具体的には、気温の変化や天候、理不尽な事故などが、コントロールが難しいストレスの代表とされています。
このようなコントロールが難しいストレスに対しては、多くの場合、対処するよりも避ける方が適切だと考えられています。対処が難しい問題に向き合い続けると、かえってストレスが溜まってしまう恐れがあるためです。
ストレスをコントロールできる人の特徴
ストレス要因の把握と対処に長けていることが、ストレスをコントロールできる人に多く見られる特徴です。
ストレスをコントロールするためには、ストレスと向き合って、過度な負荷がかからないように調整する必要があると考えられています。
また、ストレスの解消に向けた対処法を適切に実行するためには、ストレスの要因を把握することも重要だと言われています。
ストレスをコントロールできる人には、例えば以下のような行動が見受けられる可能性が高いです。
- 自身が担当している業務の負担が大きく、ストレスを感じていたため、上長に業務配分の調整を依頼し、負担を軽減した
- 仕事が忙しい時でも、定期的に友人と食事や会話を楽しむことで、気分を切り替え、ストレスを発散させる
ストレスコントロールに関連するよくある質問
ストレスコントロールを身に着けるメリットはありますか?
ストレスコントロールを身に付けるメリットの一つとして挙げられるのが、精神的な不調を防ぎやすくなることです。
ストレスコントロールを通じて自分のストレスを把握できれば、精神状態の良し悪しを判断しやすくなると考えられています。
また、精神状態を適切に把握できれば、うつ病や適応障害といった精神的な不調を未然に防ぐことが期待できます。
ストレスから抜け出す方法はありますか?
質の良い睡眠をとることで、ストレスから抜け出すことができる見込みが大きいです。その理由は、睡眠をとることで心身の疲労を回復する効果が期待されるためです。
また、心身のコンディションが良好だと、ポジティブな精神状態を維持しやすく、ストレスが軽減する傾向にあります。
ストレスコントロールが難しいのはなぜですか?
ストレスコントロールが難しい背景には、自己理解の不足や完璧主義の傾向、ストレス耐性の低さなどが関係していると考えられます。
さらに、ネガティブな思考をしやすい性格や、睡眠不足が続いていることも、ストレスコントロールが難しい原因となる可能性が高いです。
上記のような特徴を持つ人は、気分の切り替えを難しいと感じやすい傾向があります。また、気分の切り替えが上手くできないと、問題への適切な対処法やストレス発散の方法が分からなくなる恐れもあります。
その結果、ストレスを溜め込んでしまい、ストレスコントロールが難しくなる可能性があるため、注意することが望ましいと言えるでしょう。
【監修者プロフィール】
江東こころのクリニック院長
谷本 幸多朗医師
九州大学医学部卒業後、帯広第一病院にて救急医療や外科及び内科の研修を経験する。
2013年より久喜すずのき病院にて精神科急性期医療を後期研修し精神保健指定医となる。
2018年より江東区にて一般メンタルクリニックに加えて認知症デイケアを併設した物忘れ外来も行う精神科クリニックである江東こころのクリニックを開業し、現在に至る。
▼主な経験
・精神保健指定医の経験あり
・製薬会社主催の各講演会や地域の医療職対象の勉強会において講演や座長の経験多数あり