コラム

2025.04.10

深呼吸をすると落ち着くのはなぜ?落ち着く理由や正しいやり方・ポイントを紹介

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深呼吸をすると心が落ち着くのはなぜ?

深呼吸をすると心が落ち着きやすい理由は、自律神経の一種である副交感神経が優位になりやすいためと考えられています。

自律神経は、人間が生きるために必要な身体機能を自動で調整している神経と言われています。自律神経は交感神経と副交感神経の2種類に分けられることが特徴です。

深呼吸は自律神経に作用し、副交感神経の働きを活発にする効果が期待されています。副交感神経の働きが活発になると、人間の心と身体は落ち着きを保ちやすい状態へと移行する傾向があります。そのため、深呼吸は心を落ち着かせるのに効果的な手段の1つだと言えるでしょう。

また、副交感神経が優位な状態だと、心拍数や血圧が下がりやすいとされており、活動性が抑えられることで心が落ち着く可能性があります。副交感神経の働きが強くなると、交感神経の働きが抑制されやすいと考えられています。

結果的に、脳の扁桃体と呼ばれる部位の過剰な反応が抑えられ、漠然とした不安感が軽減される可能性が高いと言えます。

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心が落ち着く深呼吸のやり方

心が落ち着く深呼吸のやり方の1つとして、腹式呼吸が挙げられます。腹式呼吸は、呼吸に伴い腹部が膨らみ、横隔膜と呼ばれる筋肉が動きやすくなることが特徴の呼吸法です。

腹式呼吸は、多量の空気を吸い込み、時間をかけて吐き出す呼吸になりやすいとされています。このような呼吸は、横隔膜を動かし、副交感神経の働きを優位にしやすい効果があると考えられています。

副交感神経が優位になると、心拍数が低下し、身体の緊張がほぐれやすく、それに伴い精神も安静な状態に移行する見込みが大きいです。

腹式呼吸の効果的な実施方法の一例として、以下の手順が挙げられます。

腹式呼吸を行う際は、以下の手順を試してみると良いでしょう。

  1. 約3秒かけて鼻から息を吸う
  2. 腹部に空気を溜め込み膨らませる
  3. 約1秒息を止める
  4. 約5~10秒かけて息を吐く


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心が落ち着く深呼吸のコツ

心が落ち着く深呼吸の主なコツとして、以下のような点を意識すると良いでしょう。

  • 息を吸うよりも息を吐く時間を長く取る
  • 鼻から息を吸い、口から息を吐く
  • 吐くときは腹部を凹ませ、吸うときは腹部を膨らませる
  • おへその下に位置する丹田に意識を向ける
  • 無理のない姿勢で座り、背中をまっすぐにする
  • 深呼吸を何回か繰り返す
  • 横隔膜を動かし、副交感神経の働きを高める

呼吸に意識を向けていない状態では、呼吸が短く速くなりがちです。その結果、浅い呼吸を繰り返しやすくなり、交感神経が活発になって心も緊張状態に陥りやすくなる可能性があります。

心を落ち着ける呼吸をするためには、息を吸うよりも吐き出しを意識的に長くしたり、呼吸しやすい姿勢を取ったりすることが大切だと言えるでしょう。

深呼吸のメリット

深呼吸のメリットは以下の通りです。

  • 心が落ち着く
  • 集中力が向上する
  • 血行が良くなる
  • 睡眠の質が改善される
  • ストレスが緩和される

心が落ち着く

深呼吸のメリットの1つとして挙げられるのが、心が落ち着くことです。深呼吸をすると、副交感神経が優位になり、心身が休息モードに移行しやすい傾向があると考えられています。

また、深呼吸は「セロトニン」という幸せホルモンの分泌を促しやすくしたり、ストレスホルモンの分泌を抑えやすくしたりする効果があるとされています。

これらのホルモンは、精神状態を安定させ、心を落ち着かせるのに役立つ可能性が高いと言えます。

集中力が向上する

集中力が向上しやすいことも、深呼吸のメリットの1つと言えるでしょう。深呼吸をすると、交感神経と副交感神経のバランスが整いやすくなり、自律神経が安定しやすいと考えられています。

自律神経が安定すると、身体のこわばりや心の緊張状態が和らぎ、集中力が高まる可能性が高いです。

また、深呼吸によって多くの酸素を取り込むことで、脳に供給される酸素の量が増える傾向にあります。脳に酸素がしっかり届くと、頭がスッキリした状態になりやすく、集中力が高まることが期待されています。

血行が良くなる

血行が良くなる可能性があることは、深呼吸によって得られるメリットの1つです。深呼吸によって副交感神経が優位になると、血管が広がりやすくなると考えられています。

血管が広がると、酸素が身体の隅々まで行き渡りやすくなるため、血行が改善される場合が多いです。

結果的に、筋肉のこわばりが緩和されたり、体温が上がりやすくなったりして、冷え性の症状が和らぐ可能性があります。

睡眠の質が改善される

深呼吸に関するメリットとして期待される効果に、睡眠の質が改善されることがあります。深呼吸をすると、副交感神経が優位な状態になりやすく、心身を活動状態から休息状態へ切り替える手段として有効と言えるでしょう。

そして、自律神経のバランスが保たれ、心身が落ち着いた状態で眠ると、睡眠の質が高まる効果が期待されています。

ストレスが緩和される

ストレスの緩和に役立つ可能性があることも、深呼吸のメリットの1つとして挙げられます。深呼吸は心を落ち着かせ、ストレスを和らげるのに有効な手段であることは少なくありません。

深呼吸によって副交感神経が優位になると、身体のこわばりが解消されやすくなり、興奮も落ち着いて、精神的に安定すると考えられているためです。

また、深呼吸は「セロトニン」と呼ばれる幸せホルモンの分泌を促す効果があるとされています。セロトニンが分泌されると、自律神経が安定しやすくなり、結果的にストレスの軽減に繋がると言えるでしょう。

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深呼吸のデメリット

深呼吸にはデメリットもあるため、注意することが大切だと言えます。人間は呼吸に意識を向けていない状態では、胸式呼吸を行っている場合が多いです。そのため、深呼吸を自然に行うことは難しい傾向があります。

そのため、深呼吸をしたい場合は、意識的に呼吸をコントロールし、深呼吸する時間を設けることが大切です。

深呼吸は多くの酸素を身体に取り込みつつ、身体の中の二酸化炭素を放出することが特徴です。しかし、過剰に深呼吸をすると、身体が必要としている二酸化炭素まで放出してしまうことが多いです。なお、二酸化炭素は、体内の酸とアルカリの均衡を維持する機能があると考えられています。

そのため、深呼吸をしすぎると、二酸化炭素を必要以上に放出してしまい、体内の酸とアルカリの均衡が崩れてしまう可能性が高いです。そのような状態では、めまいや頭痛などの症状が発生しやすくなると言われています。

心が落ち着く深呼吸に関するよくある質問

深呼吸は一日あたり何回が目安ですか?

深呼吸の目安とされている回数は、1日あたり5〜20回程度です。深呼吸を意識的に始めたばかりの頃は、1日5回程度を目安に始めることが望ましいと考えられています。

慣れてきた場合は、そのときのコンディションに応じて、10~20回に増やすのも良いでしょう。

深い呼吸をするメリットは何がありますか?

深い呼吸をするメリットとして、自律神経が安定することが挙げられます。深い呼吸は、自律神経を安定させるのに役立つと言われています。

自律神経のうち副交感神経が優位になると、血行や臓器の機能が改善されやすい傾向があります。その結果、体温が上がって冷え性が解消されたり、腸の働きが活発になり便通が改善されたりする効果が期待できます。

深呼吸をやりすぎるとどうなりますか?

深呼吸を過度に行うと、身体に不調をもたらす可能性があるため、注意が必要と言えるでしょう。深呼吸によって二酸化炭素が過剰に排出されると、体内の酸とアルカリの調整が困難になることがあります。

その結果、深呼吸によってめまいや頭痛などの身体の不調が引き起こされる可能性があるため、注意が必要とされています。


【監修者プロフィール】

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江東こころのクリニック院長 

谷本 幸多朗医師

九州大学医学部卒業後、帯広第一病院にて救急医療や外科及び内科の研修を経験する。
2013年より久喜すずのき病院にて精神科急性期医療を後期研修し精神保健指定医となる。
2018年より江東区にて一般メンタルクリニックに加えて認知症デイケアを併設した物忘れ外来も行う精神科クリニックである江東こころのクリニックを開業し、現在に至る。

▼主な経験

・精神保健指定医の経験あり

・製薬会社主催の各講演会や地域の医療職対象の勉強会において講演や座長の経験多数あり

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